伊是名島踏査(2017年3月27・28日)
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伊是名島をゆく。今回の目的は、伊是名島の四件の神アサギ。シニグ、アガーナ山の雨乞い遠見所の確認。伊是名グスクの登頂である。それと『琉球国由来記』(1713年)の伊平屋島に搭乗する祭祀の「神遊び」につてである。そこから学ぶことが数多くあるからである。伊平屋島をみることで山原の祭祀などがよく見え、そのヒントが得られるからである。
伊是名グスク内に『琉球国由来記』(1713年)で・伊是名ミヤ御イベ、高城ミヤ御イベ、大城みや御イベ、泉井がある。
井泉は、雨天や旱魃でも水の増減はなしという。
伊是名村東の方海涯、岩掛の嶺に有り。雨天且つ旱の時、水不増不滅。
旱魃の時、女巫・掟神、女共召列、□雨乞う為祈願也。
伊是名城の上に、井川あり。井川をさらい、雨乞の時、ミセセルを謡う。
▲伊是名城内の泉井 ▲城内のイベの一つ
玉御殿
伊是名の海涯、岩カゲノ嶺にあり。戌亥(北西)の方に向、御門、戌(西北西)の方に向。
(高一丈、長三間、横二間八尺。外圍の石垣、東西九間五寸、南北九間三尺)
左柱の銘
ヨソヒヲドンノ大アンジヲギヤカ
右柱銘
ヨモヒ真ゼニガネ御物
▲玉御殿(伊是名のタマウドゥン) ▲玉御殿への階段(三、五、七か)
【アーガ山】
アーガ山にも雨乞地がある。これまで三、四回アーガ山に登っているが、雨乞場所は草でなかなか全体をみることができず、いつも鎌持参で登らないと思っていた。今回は草が刈り取ってあり、三つの雨乞場所と火立所をしっかり確認することができた。(仲田の雨乞い場所は未確認)(近世は遠見所?)
①諸見の雨乞地(方向を示す石がある。伊江島や沖縄本島)
②伊是名の雨乞地(伊平屋島方向を示す石がある。近世まで遠見所?)
③仲田の雨乞地
④火立所
近世の遠見所は三つの円形の火立所があることから、アーガ山の円形の石囲いは遠見所が、
明治になって雨乞いの場所として利用されたのではないか。
▲アーガ山の案内版 ▲諸見の雨乞い地
▲伊是名の天乞地 ▲グミの実
▲伊是名の雨乞地 ▲方向を示す石?
▲アーガ山の火立所(三ヶ所の火立所の一つか
【四軒の神アサギとヒャー家】(年中祭祀と神アサギ)
▲仲田の神アサギ ▲諸見の神アサギ(諸見ヒャーの屋敷内)
▲伊是名の神アサギ(ヒャーの屋敷) ▲勢理客の神アサギ
【年中祭祀と神遊び】
【第一尚氏時代の伊平屋(伊是名島含む)と北山の時代】
【北山監守一族の首里引揚と島に残留した四殿内(銘苅家・名嘉家(ウドゥン)・フェーヌタハタ
・ニシヌタハタ)】
【港や船に関する規定】(間切公事帳)より
番毎方
一 右両日(毎月一日・十五日)の四ツ(午前十時頃)前には、御高札、「御教条」と「異国方
御条書」を文子に朗読させ、地頭代以下、掟、文子まで(諸役人たち)が聴聞すること。
一 毎月一日・十五日には「異国船方御条書」や置目(規定諸文書)になる諸帳を文子に命
じて虫払いをさせ、その首尾を地頭代は承ること。
一 異国方の御用として諸間切へ配布してある異国船と同船の旗印の絵図をぬらしたり、あ
るいは白蟻等がついて傷めた場合には、すぐに評定所筆者へ申し出なさい。そうすれば
書き替えを命ぜられ、右絵図の保管を怠ったさばくりへ(絵図)一枚につき罰金五貫文ず
つの罰金を納める模となっている。
一 異国船をみとめたら、すぐにさばくりたちへ申し出るように各村の掟・頭・百姓たちへ常々
強く申し付けておくこと。
一 右船(異国船)を確認したとの申し出があれば、早急に勝連在番と御鎖之側日帳主取へ
手分けをして注進(急ぎの報告)し、両惣地頭へも報告すること。
一 異国船が来航または通航した時の勤め方については、以前に伝達してある「御条書」の
通りに勤めなさい。
一 帰唐船(中国帰りの進貢船)をみとめたら、以前に配布してある「御条書」の通り勤めな
さい。
一 右(異国船や帰唐船の来航等を知らせる)立火(のろし)が上ったり(それらの船が)碇泊
した時には、(番所から)早使で御鎖之側と高奉行一人、摂政・三司官の宅へ申し出ること。
一 諸船が逆風に遭い難渋している時には、早急に助船を出して救助し、すぐに番所への申し
出るように海辺の村々へ申し渡しておきなさい。
一 右(難船の一件)の報告があれば、すぐに大さばくりは(現場へ)出向いて諸事を「御条書」
の通りに勤めること。
一 諸船が破損した時は、すぐに勝連在番へ申し出てさばくりの下知で(破船の)荷物などを
引き揚げ、その旨を両惣地頭へ問合し、御鎖之側と御物奉行へ申し出ること。
追記
一 (船の破損で)死者が出た場合には、詳細な首尾を申し出ること。
一 (乗組員が)他間切の者であればその間切の両惣地頭へ問合し、尤も
首里・泊・那覇・久米村の者ならばそれぞれへ連絡すること。
一 浜番へ命じて常に海辺を巡視させ、不審な寄物(漂着物)があれば構の在番または
両惣地頭へ書付でその首尾を申し出て、両惣地頭から御鎖之側へ上申すること。
一 寄物の有無の首尾を浜番から聞き、毎月一日に書付で構の在番へその首尾を申し出
ること。
(追加条文あり)